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心理的安全性を高めるゲーム7選|チームに信頼関係と活気を生む仕掛けとは?
チームの生産性や創造性を高めるうえで欠かせない心理的安全性。
メンバーが安心して意見を出し合い、失敗を恐れず挑戦できる環境は、信頼関係と活気に満ちたチームづくりの土台です。しかし、忙しい日常の中でこうした雰囲気を自然に作り出すのは簡単ではありません。
そこで効果的なのが、ゲームを活用したコミュニケーションです。ゲームを通じて心理的安全性を育む方法は非常に有効です。
本記事では、チームの絆を深め、互いを理解しやすくする心理的安全性を高めるゲームを7つ厳選してご紹介します。
■目次
1. なぜ「心理的安全性」が求められているのか?
2. 心理的安全性を高めるゲームがなぜ有効なのか?
3. 心理的安全性を高めるゲーム7選
4. 導入時のポイント|ゲームの効果を最大化するために
5. まとめ:チームに心理的安全性をもたらすゲームの力
なぜ「心理的安全性」が求められているのか?
昨今、多様化とスピードが求められるビジネス環境の中で、組織やチームのパフォーマンス向上において「心理的安全性」が不可欠な要素として注目されています。
心理的安全性とは、チームメンバーが自分の意見や感情を率直に表現できる環境を意味し、そこでの発言が否定や嘲笑、報復のリスクなしに受け入れられる状態を指します。この概念は、Googleが実施した大規模調査プロジェクト「Project Aristotle」によって科学的に裏付けられ、ハイパフォーマンスを発揮するチームの共通要素として認識されています。
組織において心理的安全性が確保されていると、メンバーは失敗や課題を恐れずに挑戦しやすくなり、自由な発想や建設的な意見交換が活発になります。結果として、イノベーションの促進や問題解決のスピードアップ、そして強固な信頼関係の構築に繋がるのです。
しかし一方で、多忙な業務や成果重視のプレッシャーから、無意識のうちに対話が減り、相互理解が希薄化してしまうケースも少なくありません。リーダーや人事担当者がこの課題に直面した際、チームの心理的安全性を意図的に高める取り組みが求められています。
心理的安全性を高めるゲームがなぜ有効なのか?
心理的安全性は一朝一夕に作られるものではありません。日々のコミュニケーションや「安心して失敗できる環境づくり」が求められます。そこで有効なのが、“遊び”や“体験”を通じたアプローチです。
ゲームには、次のような心理的効果があります。
・失敗しても笑える
・相手の意外な一面を知れる
・言葉にしづらい気持ちを表現できる
では実際に、心理的安全性の向上につながるゲームを7つ紹介していきましょう。
心理的安全性を高めるゲーム7選
①ジェスチャーゲーム
「言葉を使わずに伝える」という制限が、逆にチームの笑いと寛容さを引き出します。軽く体を動かすことで緊張もほぐれ、初対面同士にもぴったりです。
概要
テーマに沿って身振り手振りだけで表現し、他の参加者がそれを当てます。
心理的安全性への効果
・間違っても笑いに変えられる
・チーム全体でポジティブな空気が生まれる
・非言語コミュニケーション力もアップ
おすすめテーマ例
日常動作(歯を磨く、傘をさすなど)
乗り物(新幹線、タクシー、ヘリコプター)
キャラクター(スパイダーマン、マリオなど)
②はぁって言うゲーム
『はぁって言うゲーム』は、たった一言「はぁ」だけを使って、与えられたお題の感情(怒っている、驚いている、感心しているなど)を声と表情だけで表現するゲームです。言葉や身振りを使わずに感情を伝えるという制約の中で、演技力と観察力が問われるシンプルかつ奥深いコミュニケーションゲームです。
ルール
プレイヤーはお題カードから一つのシチュエーションを与えられ、それを他の参加者に伝わるように「はぁ」で表現。他のメンバーはその演技を見て、「どの感情か」を推測して投票します。
心理的安全性への効果
・表現の正解・不正解よりも、演技を見て笑い合うプロセスそのものが場を和ませる効果があります。
・たった一言で表現するため、誰もがハードル低く参加でき、失敗を恐れずに挑戦できます。
・表情や声の違いへの気づきが、他者理解や共感力のきっかけになります。
・「伝わると思ったのに!」「そんなふうに見えたんだ!」という意外性が、自然な対話と笑いを生み出します。
③ 条件プレゼン
一見バラバラなキーワードが、チームの力でひとつの物語に!発想と協力で笑いが生まれる即興プレゼンゲーム
概要
「条件プレゼン」は、チームで協力して指定された3つのキーワード(例:武士・現代・パーティー)を盛り込んだプレゼンを作り、他チームと発表し合うコミュニケーションゲームです。審査員や他の参加者の投票で、「もっとも面白かったプレゼン」が決まります。
キーワードは無関係なものが組み合わされていることが多く、自由な発想とチームの連携が求められます。チーム内でアイデアを出し合い、物語を構成し、役割分担して発表を行うため、創造力と協調性、伝える力が自然に養われます。
心理的安全性への効果
・一見「ムチャ振り」に思えるキーワードも、笑いを通じてポジティブに転換されやすく、安心して発言しやすい空気が生まれます。
・「変なアイデアでも受け入れられる」体験を通して、失敗や突飛な意見に寛容な文化が育ちます。
・自然と役割分担が生まれるため、メンバーそれぞれの得意を活かす機会になります。
・笑いを共有することによって、チームの一体感が高まるという効果も。
④共通点探しゲーム
会話のきっかけは、意外な「共通点」から。チームの距離をぐっと縮める自己開示型アイスブレイク
概要
『共通点探しゲーム』は、グループ内で自分たちに共通していることを探すシンプルなアクティビティです。趣味、好きな食べ物、経験など、テーマに沿って話すことで自然と会話が生まれ、お互いの意外な一面を知ることができるのが魅力です。
ルール
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3~6名ほどのグループを作ります。
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「好きな映画」「休日の過ごし方」「好きな食べ物」など、共通点を探すテーマを決めます。
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5~10分の制限時間内に、グループ全員に共通するものをできるだけ多く見つけていきます。
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最後に見つけた共通点を発表。もしエピソードがあれば、それも一緒にシェアすると盛り上がります。
心理的安全性への効果
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話題が「共通点探し」というポジティブで共感しやすいテーマのため、安心して話しやすくなります。
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誰か一人が発言すれば、「自分もそれ好き!」と次々に発話が連鎖しやすく、自然に会話が活性化。
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初対面同士でも「共通点」という接点が見えることで親近感が生まれるため、関係構築の第一歩になります。
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自己開示のきっかけにもなり、「話しても大丈夫」という空気感づくりに役立ちます。
⑤ マシュマロチャレンジ
制限時間18分の真剣勝負!“試行錯誤”と“役割分担”がチームの成長を促す構造系アクティビティ
概要
パスタ、テープ、ひも、そしてマシュマロ——限られた素材を使って、いかに高く“自立した”タワーを作れるかを競うアクティビティです。短時間での計画・実行・改善が求められるため、自然とチーム内のコミュニケーションが活性化。プロジェクト型ワークの縮図として、チームビルディングに高い効果を発揮します。
ルール
1チーム4人で構成
材料(パスタ20本、テープ90cm、ひも90cm、マシュマロ1個)を支給
制限時間18分以内に、できるだけ高い“自立可能な”タワーを建てる
最上部にマシュマロを設置することが条件(刺してもOK)
タワーは測定時にも自立している必要あり
1回目終了後に振り返り&再挑戦を入れると効果倍増
心理的安全性への効果
・成功するには「意見を出し合う」「役割を自然に分担する」ことが必要なため、初対面同士でも協働の土台が築かれやすい
・試行錯誤や失敗を通して、「話し合う空気」「気づきを共有する姿勢」が育ちやすくなる
・思い通りにいかない展開も多く、他者への理解やフォローの大切さが実感できる
⑥料理チームビルディング
食材を囲んで自然と生まれる会話と協力。達成感・発見・創造性を味わえる体験型アクティビティ
概要
料理を通してチームで一つの目標に向かって協働するアクティビティです。役割分担・段取り・盛り付けといったプロセスの中で、自然に会話が生まれ、互いの強みや個性にも気づけるのが特徴です。完成した料理を囲むことで、一体感と達成感が生まれ、チームの関係性がぐっと深まります。
ルール
・4~6名ほどのチームに分かれ、料理のテーマやメニューに挑戦
(例:ちらし寿司、ピザなど)
・材料・レシピ・調理器具が用意されたキッチンスタジオで実施
・調理中は自由に役割分担しながら、協力して1~2品を完成させる
・完成後はチームで試食・振り返りの時間を設けると学びが深まる
心理的安全性への効果
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火や包丁など共同で扱う場面が多く、自然と声かけや連携が生まれる
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普段見えない一面(段取り力、気配り、柔軟性など)に気づくことで、相互理解が促進
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成果物(料理)を一緒に楽しむことで、喜びや達成感をリアルに共有できる
▶ 実際に体験できるプログラムはこちら
⑦似顔絵当てゲーム
笑いと発見が詰まった“お絵かき推理タイム”。短時間でできるコミュニケーション活性化ゲーム
概要
メンバーが1人の人物をテーマに似顔絵を描き、誰の似顔絵かを当てるシンプルなゲームです。絵の上手い下手は一切関係なし!それぞれの「視点」や「表現のクセ」がにじみ出て、思わぬ一面や個性の違いに笑いが生まれます。低コスト・短時間でできるので、ちょっとしたアイスブレイクや昼休憩の余興としてもぴったり。
ルール
1人を「当てる人」、それ以外のメンバーを「描く人」に分ける
描く人は、あらかじめ決められた“共通のお題の人物”を制限時間内に描く(5分以内が目安)
※お題はチーム内の誰か、社内の有名人、話題の芸能人など
全員の絵が揃ったら、「当てる人」がそれぞれの絵を見て誰を描いたかを予想する
回答後は、なぜそう描いたのかを描いた人が一言解説。ここで笑いや発見が生まれます
心理的安全性への効果
・「絵」という表現だからこそ、話すのが得意でない人も活躍できる
・同じ人物を描いても全く違う表現になることで、視点の多様性に気づける
・「この人ってこう見えてたの?」という会話から、互いの印象や価値観に理解が深まる
導入時のポイント|ゲームの効果を最大化するために
アイスブレイクやチームビルディングのゲームは、やり方次第で「ただの余興」にもなれば「強い一体感を生むきっかけ」にもなります。
その鍵を握るのが、導入時の工夫です。ゲームの前後にどのような声がけをするか、どんな空気感をつくるかによって、参加者の姿勢や得られる効果は大きく変わります。
ここでは、心理的安全性の醸成や学びの定着といった観点から、効果を最大限に引き出すための導入ポイントを3つに分けてご紹介します。
「目的」を明確に伝える:ゲームを“意味のある時間”に変える鍵
ただ楽しむだけで終わらせないために、ゲームを始める前に「この時間で何を得てほしいのか」を明言することが大切です。
例えば、「今日はチーム内の心理的安全性を高めるために、軽いゲームをします」と伝えるだけでも、参加者の姿勢が変わります。
心理学でも、人は自分の行動に“意味”や“目的”があると理解したとき、主体性と集中力が高まることが知られています(自己決定理論)。「ただのレクリエーション」から「チームの信頼を育むワーク」へと認識が変わることで、得られる効果も大きく変わります。
ファシリテーターの“場づくり”が成否を分ける:リアクションはオーバー気味でOK
ゲーム中の空気感は、ファシリテーターの表情・声・反応に大きく左右されます。ちょっとしたミスやユニークな発言に対して、笑顔で大きめのリアクションを返すことで、参加者は「ここでは多少失敗しても大丈夫なんだ」と感じるようになります。
ファシリテーターのふるまい一つで、それを後押しできるのです。
ゲーム後の“振り返り”でチーム理解を深める:内省+共有で学びが定着する
ゲームが終わったら「どう感じた?」「意外だったことは?」など、簡単な振り返りの時間を設けましょう。ここで大切なのは、“正解”を導くことではなく、互いの気づきを共有することです。
このプロセスを通して、参加者は他者の視点や考え方を知り、自分にはなかった価値観や気づきに触れることができます。
心理学でいう“内省(リフレクション)”は、自分と他人の行動の意味を深く理解し、人間関係における柔軟性や共感力を高める効果があります。
まとめ:チームに心理的安全性をもたらすゲームの力
心理的安全性は、メンバーが安心して意見を交わし、失敗を恐れずに挑戦できるチームづくりの土台です。しかし忙しい日常の中で自然に育むのは簡単ではありません。だからこそ、本記事で紹介したようにゲームを取り入れることで、緊張をほぐし笑いを共有しながら、互いの理解と信頼を深める環境を意図的に作ることが効果的です。
今回紹介した7つのゲームは、どれも失敗を笑いに変えたり、役割分担や自己開示を促したりと、心理的安全性を高めるための具体的な仕掛けが詰まっています。これらのゲームを取り入れれば、チームメンバー同士の壁を取り払い、協力や創造性を自然に引き出すきっかけになります。
チームの生産性や創造性を高め、活気あふれる組織を目指すなら、まずはこうしたゲームから取り組み、心理的安全性のある風土を築くことをおすすめします。