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心理的安全性を高めるチームビルディング取り組み事例3選

心理的安全性とは「自分の意見を安心して言える空気」のこと。Googleの研究でも、生産性が高いチームの共通点として注目されています。心理的安全性がある職場では、挑戦や失敗が前向きに受け入れられ、自然と信頼関係やリーダーシップも育まれます。本記事では、心理的安全性を育てるチームビルディングの方法を厳選して3つご紹介。それぞれの事例を通じて、導入のメリットや実践のヒントを解説します。すぐに取り入れられる工夫で、チームの力を高いレベルへと引き上げていきましょう。

■目次
1. 心理的安全性とは?〜なぜ今注目されるのか
2. 心理的安全性がないと起こる「4つの不安」
3. 具体的ステップ】心理的安全性を作るための実践法
4. 心理的安全性を高めるチームビルディング事例3選
5. まとめ|心理的安全性は簡単なチームビルディングで育む

心理的安全性とは?〜なぜ今注目されるのか

心理的安全性とは、組織やチームの中で「自分の意見を遠慮なく言えて、否定されない安心感」を指します。これは単なる「仲良し」や「雰囲気の良さ」とは異なり、失敗や意見の違いを学びや成長につなげる風土のことです。

1999年にハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・エドモンドソン教授が提唱し、Googleの「プロジェクト・アリストテレス」でも生産性の高いチームの条件として効果が証明されて以降、世界中の企業から注目を集めています。

特にリモートワークや多様性の進展により、従来のマネジメントスタイルが見直される中で、心理的安全性は現代のリーダーシップに欠かせない要素となっています。

心理的安全性がないと起こる「4つの不安」

エドモンドソン教授は心理的安全性が欠けると、メンバーが以下の4つの不安を抱えやすいと指摘しています。

・無知だと思われる不安(質問できない)
・無能だと思われる不安(ミスを隠す)
・邪魔だと思われる不安(発言を控える)
・ネガティブだと思われる不安(本音を言わない)

これらは、組織に悪循環を生み、コミュニケーション不足やモチベーション低下、離職率上昇を招きます。

【具体的ステップ】心理的安全性を作るための実践法

心理的安全性の高いチームを育てるには、ただ制度やルールを設けるだけでなく、日々の行動や関係性の中で「安心して発言できる空気」を少しずつ育んでいくことが重要です。ここでは、すぐに取り入れられる実践的な方法を4つご紹介します。それぞれの方法には、チーム全体の生産性を高めるうえでのリーダーシップの発揮の仕方や、信頼関係を築くコツが詰まっています。

リーダーの「失敗歓迎マインドセット」を示す

心理的安全性は、上司やリーダーがどんなメッセージを発信するかによって大きく左右されます。特に重要なのが、「失敗を咎めるのではなく歓迎する」という姿勢を明確にすることです。
失敗をオープンにできる雰囲気があると、挑戦や提案が増え、結果としてチームの創造性や問題解決力が向上します。リーダー自身が自らの失敗や気づきを言語化して共有することで、メンバーも「正直でいていいんだ」という安心感を得られます。

発言歓迎の場づくり&「否定禁止ルール」

会議や雑談の中で、否定や評価を前提にした反応があると、人は自然と口を閉ざしてしまいます。
心理的安全性を高めるためには、まず「どんな意見でも歓迎する」という姿勢を場に示すことが必要です。具体的には、発言を遮らずに最後まで聞く、アイデアにはまずポジティブな面を見つけるといったリアクションを徹底すること。
「否定しない」というルールを共有することで、チーム全体に安心感が浸透しやすくなります。

定期的なフィードバックと感謝の循環

信頼関係は、日々の小さなフィードバックの積み重ねで築かれます。
特に、「ありがとう」「助かったよ」といった感謝の言葉は、チームの温度を一気に高めてくれるシンプルで強力なツールです。
定期的な1on1や、日々の会話の中で感謝を言葉にする習慣を持つことで、「自分の存在や貢献が認められている」という実感が生まれ、心理的な安定につながります。

メンバーの「背景」や「強み」を可視化する

チーム内の多様性を尊重するには、まずお互いの違いを「見える化」することから始まります。たとえば、チームメンバー全員が自分のスキルセットや経験、価値観、働くうえで大切にしていることなどをシートに書き出し、それを共有する機会をつくることで、「相手が何を大事にしているか」「どんな支援が必要か」が自然と見えてきます。

こうしたプロセスを通じて、ただの表面的な「尊重」ではなく、相互理解にもとづいた関係性が築かれます。自分と異なる価値観や視点を知ることは、結果として心理的安全性の土台となる「共感」や「受容」の気持ちを育てることにもつながります。

心理的安全性を高めるチームビルディング事例3選

心理的安全性を育むには、「ただ仲良くなる」だけでは不十分です。チームの関係性の質を高める具体的な仕掛けや、一人ひとりの「安心して発言できる」体験が不可欠です。
ここでは、実際に企業が取り組んだチームビルディング施策の中から、特に効果が見られた3つの事例をご紹介します。いずれも、メンバーの関係性が変化し、発言・挑戦・協力が自然と生まれる土壌を育てた成功例です。

事例1|「失敗を称える共有会」で挑戦を応援する文化を育てた(ITベンチャー企業A社)

【背景課題】
・若手が「ミスを恐れて動けない」状態が常態化
・会議では一部の声が強く、アイデアが偏っていた

【取り組み】
・月1回、「やらかし共有会」を開催
・チームメンバーが自分の失敗と学びを発表
・優秀な「ナイスやらかし賞」を拍手で讃えるルールに

【効果】
・「失敗=悪」ではなく、「失敗=経験」という空気が醸成
・若手からの自発的な提案が増え、サービス改善サイクルが加速
・チームの雰囲気が良くなった

【ポイント】
失敗談を共有し、それを歓迎する場を作ることが、心理的安全性の土台に。これは形式ばったものではなく、笑いや共感を生む人間味ある場であることが鍵。

事例2|「共通点探しゲーム」で上下関係の壁を取り払う(外資系コンサルB社)

【背景課題】
・縦の文化が強く、若手が上司に意見しづらい

【取り組み】
・定例ミーティングの冒頭で「共通点探しゲーム」を実施
・3人1組でペアを作り、「出身地」「最近ハマっていること」などの共通点を制限時間内に探すルールに
・役職や部署を越えてメンバーをシャッフルし、普段関わりの少ない社員同士を組み合わせた

【効果】
立場や年齢に関係なく、会話のきっかけが生まれたことで上下関係のプレッシャーが軽減
ミーティングでも若手の発言が増え、意見の多様性が向上
社員満足度調査でも「職場での安心感」項目が前年比120%アップ

【ポイント】
仕事と切り離した“人”同士の共通項を見つけることで、関係性が一度リセットされる。心理的安全性を高めると同時に、ボトムアップの風土を自然に促進できる。

“餃子とラーメンづくり”で打ち解けた|料理を通じた対話促進(製薬会社C社)

【背景課題】
・部署横断プロジェクトをスタートするも、初対面同士で会話が少なく、進行がぎこちない
・会議では沈黙が多く、若手の意見も出ない状態だった

【取り組み】
・キッチン付きレンタルスペースで「調理ワークショップ型チームビルディング」を実施
・内容は「餃子の皮から作る本格餃子&ラーメンづくり」
・役職や年齢関係なくチームを編成し、協力しながら調理~試食までを体験

【効果】
・普段会話のないメンバー同士が自然にやり取りをするように
・「一緒に手を動かす中で、素が出せた」「笑顔が多かった」という感想が多く寄せられた
・ワーク後の業務ミーティングでは発言量・意見のバリエーションが大幅に増加

【ポイント】
料理は「共同作業」と「雑談」が生まれやすく、心理的安全性の土台となる関係性の質を一気に引き上げる効果があります。特に役職や年齢を越えた「素のコミュニケーション」が自然に生まれたことが、成功の要因です。

実際に体験できるプログラムはこちらをチェック
料理deチームビルディング|公式ページを見る

まとめ|心理的安全性は簡単なチームビルディングで育む

どの事例にも共通しているのは、「発言しても大丈夫」「自分を出しても大丈夫」という安心感をどう作るか」にフォーカスしていること。

心理的安全性は、単なる制度ではなく、日々の小さな仕掛けや関係性の中で育つ文化です。

チームの課題に応じて、小さく始めてみることが成功の鍵。
まずは1つでも、あなたの現場で取り入れてみませんか?